父ちゃんの店“ever girl”に、絶叫がこだまする。

「ええええ!!これ、本当に僕ですか?」


髪はアッシュ系のカラー。

ウォーターワックスで立ち上げてボリュームアップ。

毛先はエアリーに、より軽く。

服はユーズドのデニムパンツ。

モノトーンのシンプルなストライプシャツ。

その上に黒いショールカラージレ。

そこには確かに、ひとりの“おしゃれイケメン”が立っていた。


「どうだ、平石君!これでモテ期が来るぞ!」

「後は、その銀ぶちメガネを何とかすれば、カンペキだね!」

父ちゃんとオレは、最高の出来栄えに大満足。


平石は、顔も整ってるし足も長いし、元々の素材がいいんだ。

ただ、自分を良く見せるのに興味がなかっただけで。


「あ、ありがとうございます!僕がこんなに変わるなんて、驚きました!これでちょっと自信持てます!」

全身が映る鏡の前で、ハニカミながら自分の姿を見続ける平石。


こんなに喜んでくれるなんて…

カワイイ、功介クン!


「お支払いします」と何度も言う平石を、オレは「いいからいいから!」と断った。

レアめくのお礼にしても、まだ全然足りないんだから。


そのままの格好で家に帰る、ニコニコ顔の平石。

オレはブンブンと手を振って見送った。