「友美の料理はやっぱうまいな!」

父ちゃんが豚汁をふぅふぅしながら言った。

「それ、昨日も聞いたよ!それしか誉め言葉ないのかよ、父ちゃん」

豚汁さえ姿勢正しくエレガントに食べる平石がクスッと笑った。


「順平が男の友達連れてくるなんて、初めてじゃないか?」

「そういえばそうね!平石君はとってもいい子なの!」

友美さんが満面の笑顔で漬物を運んできた。

「すごくおいしいです、おばさん。ありがとうございます!」

きれいな角度で頭を下げる平石。

「よかった!そう言ってくれると嬉しいわ!さ、私も食べよっと」


夏に食べる熱々の豚汁。

父ちゃんがリモコンでクーラーを強にする。


「ところで平石君は…」

「はい、なんでしょう?おじさん」

「童貞かい?」

ブフッ!!

オレだけ豚汁吹きそうになった。

「ちょっと!いきなり何言ってんだよ!父ちゃん!!」

「はい、童貞です」

ブフォッ!!

「平石もそんな真面目に答えなくていいから!」