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“あんていく”の作業室。


「そう…これがめくるちゃんなのね」

フィギュアを持ってぐるぐると角度を変え、なめるようにいろんな部分を見る友美さん。

めくるちゃんの、あんな所やこんな所まで


「これで完璧に作れるわ!ありがとう平石君!」

「いえ、お役に立てれば嬉しいです」

平石がニコッと笑う。


たまに見せるこの笑顔にキュンときちゃうのは、なぜ?


「それにしても、ずいぶんハイクオリティね、このフィギュア」

友美さんが目を輝かせている。

「なぁ平石、コレもしかしてさぁ、『技巧師の神』が造ったヤツじゃない?」

ギラン。

「正解です。よくわかりましたね、滝山君」

「やっぱりなぁ!友美さん、これヤバイよ。めちゃくちゃな金額だから」

「ええっ!そんなに?」

友美さんが緊張した顔で、フィギュアをテーブルにそ~っと置いた。


「そんな高価なもの、お借りていいのかしら?もちろん大事に扱うけど」

「大丈夫です。これは“普段用”なので」


保管用もあるんだね、やっぱり。


「いや~、助かったわ。良かった!順平にこんなステキな男友達がいて!」

うんうん、オレもそう思います!

「そうだ!平石君にお礼しなきゃね!何か欲しいのある?」

「何もないです」

即答する平石。

そうだよね、自分で何でも買えちゃうもんね。

「ただ…」

平石の頬がポッと赤くなる。

「良ければ、ご飯を作っていただけませんか?僕、肉じゃがとか煮物とか、家庭の味が恋しくって」


ズキューン!

かっ…カワイイ!!

カワイイよ、功介クン!!