学校帰り、いつも視界に入る駅前の高層マンション。

オレとは全然無関係だったそのマンションの最上階なう。


「おおおお!なんじゃこりゃあ!?」


平石に招かれて家にあがると、とてつもない大空間だった。

3mくらいあるんじゃないか?ってくらいの高い天井。

街全体が一望できるほどのバカでかい窓。

一体、オレんちの何倍??

やっぱこの人、オカネモティだ!!


「そこらへん適当に座ってて下さい。今アイスコーヒー煎れますから」

「ハ、ハイ…」

キョドり気味でソファーに座り、部屋中をキョロキョロ見回す。


こんなに広いのに、あるのは簡単な家具とパソコン1台だけ。


この家…

まったく生活感がない。

なぜ?


「お待たせしました」

平石がテーブルに置いたのは、見るからに高そうなグラス。

オレは「いただきます」と言って、遠慮なくガムシロップとミルクをドバドバ入れる。


「なー、平石?」

「何でしょう?」

「家族の人は?」

ブラックでクイッと飲む平石。

「ああ、僕一人暮らしなんです」

「ええっ!この家に!?」

鼻からコーヒー出るくらい驚いた。

「はい。両親は海外で暮らしてます。僕は海外生活も飽きたので、ここに」

「ふぇぇ…」

そのリッチさに、オレはもうひたすらポカーン。


イヤ、待て。

「それにしても、何でわざわざオレさえ入れるレベルの高校に入った?もっといい所行けたでしょ?」

「ああ、それは簡単です。普通の方がおもしろいからです

「あ~、そうなんだ…」


おもしろいから、ね…