「あの、さ…」
「ん?」
「さっき、ジャマしてごめんね」
「ん?ああ、全然!」
ここで、思い切って疑問をぶつけてみた。
「ねぇ。前に、ミナミさんのこと『ただの知り合い』って言ってたよね?」
「ん?ああ、うん」
「ただの知り合いの人と…あ、あんなことするの?」
ブッ!と吹いた滝山くん。
「あんなの、挨拶みたいなもんだよ!」
えっ!?
あいさつ??
私なんか、森田さんと手を繋いだだけで体が熱くなって沸騰しそうなのに?
携帯を耳から離して、わざわざ私の顔を見る滝山くん。
うっ、なんかニヤついてる!
これは、スケベモードの時の顔だ!!
「キスどころか、それ以上の事も…」
「わーっ!わーっ!」
なななんてこと言うんだ、この男は!!
「クスッ、奈緒ちゃんカワイー!」
なんだ?この上からな感じ!
なんかムカつく!!
なによ!
自分がさ?
経験豊富だからってさ!?
…そうだ。
私、なにを忘れちゃってるんだろう。
コイツはチャラ男だった!
そうだよ。
学校イチのイケメン『チャラ王子』だよ!
“見かけはチャラ男、中身はオタク”
滝山順平だよ!
もう絶対忘れないから!!



