ちょっ!
ちょちょちょちょっと!!
なんで人の目の前でキスしてるの!?
せめて、携帯閉じてからやって!
って、これ…
やらしい方のキスじゃ――ん!!
さすがに携帯は下に置いてくれたから見えなくなったけど
音が…
激しいディープキスの音が…
生々しい音が聞こえるよ――っ!!
「…お?」
んっ?
「奈緒?」
ああ、滝山くんの声だ。
ずっと耳ふさいでたから、呼ばれてるの気付かなかった。
「さっきのメールって、誰から?」
いつもの通話小芝居をしてる時と同じように、滝山くんのほっぺたが見える。
ああ、デート終わったんだ…
良かった。
「友美さんだよ。なんか、相談したい事があるみたい」
「そうか。んじゃ、このまま友美さんの店に直行すっか!」
さっきの激しいキスを私に見られたのは分かっているハズなのに…
いつもと何の変わりもない滝山くん。



