パッと部屋の電気がついた。
「ただいま、奈緒!」
「あっ、おかえり…滝山くん」
私いつの間にかウトウトしちゃってた。
「ゴメン、起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫。ヒマすぎて寝ちゃってただけ」
滝山くんが申し訳なさそうに言う。
「そうだよなーヒマだよなー。留守番させてゴメンね」
「いいの!私がそうしてって言ったんだから」
滝山くんにこれ以上迷惑かけたくない。
だから、私は家でおとなしくしてた方がいいんだ。
「奈緒さー」
バックをおろして制服を脱ぐ滝山くん。
もちろん私は両手で目隠しをする。
「なに?」
「月曜日から、一緒に学校行こうよ?」
えっ!?
「だ、だめだよ!誰かにバレる確率高くなるじゃん!」
「いいんじゃない?バレたらバレたで」
滝山くんは…何も分かってないよ。
ダサ井の私が滝山くんのこんな近い所で毎日一緒にいるなんて
そんなのみんなに知れたら…
学校中の女の子が大騒ぎするに決まってるじゃん。
「だめだよ、やっぱり」
本当は行きたいけど…
私の目を真っ直ぐ見つめながら、滝山くんは優しい口調で言った。
「いいんだよ、オレが奈緒と一緒にいたいんだから」
えっ?
なんだ今の殺し文句。
チャラ王子のテクニック?
それとも…本心?
戸惑う私に、滝山くんが微笑みかけた。
「一日ここにジッとしてて、つまんなかったよね。ちょっと散歩でもしようか?」



