待ち受けカノジョ。

ポテトのにおいに誘われて立ち寄った、駅ナカのファーストフード店。

向い側に座る桃香ちゃんが話をきりだした。


「なんか怖かったね、奈緒の彼氏」

怖いってゆーか、ムカついたね!オレは。


「大切な彼女をあんな目に合わせた、オレに怒ってんだと思うよ?」

Wバーガーにガブッと食らいついた。


桃香ちゃんはアゴに人差し指をつけて、斜め上を見ながら言う。

「そうかなぁ?だったら『バカヤロー!』とか言って殴りかかるくらいの勢いなんじゃないかなぁ?」

「さぁ、どーなんだろーね」


うぇ~!テキトー返事してたら嫌いなピクルス食っちゃった!


「でもさ、奈緒、『初めて彼氏ができたー!』って騒いで、それからほとんど毎日、ずーっと桃香にノロケ話してたんだよ!」

「へえぇ」

あの奈緒がねぇ…

おちょくりネタ入手!


「それでさ、3年も付き合ってて、まだキスしかしてないんだって!信じられないよね~!」

そんな情報はイラネ。


オレはノーコメントでポテトを口の中に入れまくった。


桃香ちゃんがドリンクのストローを回す手を、ふっと止める。

「…ねぇ、滝山君」

「ん?」

「滝山君って、彼女いるの?」

なんだ?突然。