「そっか。先生から滝山君が事故にあったって聞いて、心配してたんだよ。」

「オレは平気。それより、奈緒の友達だよね?」

『奈緒』という名前を出した時、桃香ちゃんはピクッと反応した。


「うん…。奈緒も滝山君と同じ日に事故にあったって、聞いてるよ」


ん?

その話ぶりだと、オレと奈緒がぶつかったってのは、先生言ってないのかな?


「奈緒の家に電話してるんだけど誰も出ないから、どこに入院してるのとか全然分からなくて…」


桃香ちゃんは、奈緒の友達。

友達は、かけがえのない、大切な存在。


よし!

ここは、オレの出番だ!


「ねぇ、これから時間ある?」

おもむろに桃香ちゃんを誘うオレ。

「えっ?あ、うん。7時から塾だけど」

じゃ、大丈夫かな。

「ちょっと、オレに付いて来て」


やっぱり携帯持ってくればよかった。

そしたら奈緒も、桃香ちゃんと一緒にいさせてやれたのになー


でも…その時、

かあっと真っ赤になった桃香ちゃんの顔の意味を


オレはまだ知らなかった。