「滝山くん」



…えっ?

今誰か呼んだ?


周りには当然誰もいない。


気のせいか…



「滝山くん!」


やっぱり誰か呼んでる!

この声、聞いたことがある。


もしかして

気絶する前に聞こえた声!?



「滝山くーん」


耳をすまして、声のする方を目でたどる。

でも、そこには引き出しがあるだけ。


まさか

ウワサの小さいおじさん?

イヤイヤ、女の子の声だから。


「滝山くんってば!」


…携帯?

引き出しの上に置いてある携帯に手を伸ばした。

通話中になってるのかもしれない。

パカッ

「えっ!?」

携帯を開いたオレの目に

飛び込んできたのは―――


「あっ!青井…奈緒!?」