成田さんは白いカーテンをひきながら、「そういえば!」と言って振り返った。

「ねえ、アナタとぶつかった子も片岡高校よね?」


あっ!そうだ。そうだった!!

「あの子は?あの子は今どうしてるんですか?」

いままでふざけた調子でニヤニヤしてた成田さんの顔が、急に曇る。

「あの子はね…集中治療室にいるの。意識がなくてね」

「えっ!?」

意識がない?

「強く頭を打ったみたいでね。早く戻ればいいんだけど」

「そうなんですか…」


ぶつかった時、オレはゴロゴロ転がっていた。

だから、あの子がどういう状況だったかなんて、分かるハズもない。


でも。

あの勢いでぶつかったんだ。

女の子だし、相当のダメージは喰らうだろう。


――簡単に想像はできた。


あの子が弧を描くように空中を飛んで

地面に叩きつけられた時の

生々しく、残酷な音さえも。


血の気がサァッと引くのを全身で感じた。


「お、オレっ…!」

ガバッと布団をめくって上半身を起こす。

でも、何を言ったらいいのか分からない。

言葉が見つからない。

体が硬直して動く事もできない。


ズシッと重い

何かを背負ってしまったようで…