話は聞こえるけど、病室の天井しか見えない。

私は目を閉じて会話に耳を傾けた。


「この服、背中側がなかったわよね?どうしたの?」

「入院服の上から着れるように、オレが作ったんです」

えっ、滝山くんが!?


そういえば…ここ2、3日ずっと部屋にいなかった。

めくるちゃんも見ないで何かやってるみたいだったから、不思議に思ってたんだ。


「まぁ、奈緒のために…ありがとう」

お母さんが涙声になった。


「オレ、おばさんにも喜んでほしかったんです。おばさんの笑顔が奈緒の幸せなんですから」