思わず画面に手をついて見入ってしまう。
黒くて長い髪にはゆるいカールがかかっていて、ぱっつんだった前髪は斜めに分けられている。
耳の上には、いつか滝山くんが買ってくれたレースリボンのバレッタが飾られていた。
これが、私…?
いつもお母さんと共用の服しか着ない、ダサ子の私!?
自分で言うのも変だけど、女の子のファッション雑誌から出てきたみたい。
信じられない。
自分がこんなに変わるなんて…
「滝山君、ありがとうね」
「容態があんまり良くないのにすみません」
お母さんと滝山くんが話す声。
「でもオレ、奈緒に着て欲しかったんです」
「いいのよ。この子も喜んでると思うわ」
「そしたらオレも嬉しいです」
どこかに置かれたようで、パッと視点が変わる。



