コンコン

いつの間にか泣きながら寝てしまった私は、その音で目が覚めた。

コンコン

これは…滝山くんが私を呼ぶノックの音。


何とかまぶたを開くと、滝山くんが心配そうな顔で覗いていた。


『だいじょうぶ?』

声を出さない滝山くんの口が動く。


重い体を引きずりながら画面の方に近づいた。

顔に手を当ててみる。

さっきまでの涙は、もう乾いていた。


「大丈夫」

うなずく私を見た後、滝山くんは私を持ち上げた。


視点が変わる。

ベットに横たわっている私の体が見える。


滝山くんが歩き寄って、1歩、2歩、近づく。


えっ…!?


お母さんと成田さんの声が聞こえてきた。

「まぁ、奈緒!こんなにかわいくしてもらって」

「そうですね。まるで…」


そこには、胸元にふわふわした羽がついている、白いレースのワンピースを着た私がいた。


「花嫁さんみたいですね」