コトッ…
自分がどこかに置かれた振動があった。
そこに何があるのか見たいけど、まぶたが重くて目を開けられない。
さっきまで、滝山くんとお母さんと成田さんの声が聞こえたけど、今はかすかな物音さえも聞こえなくなった。
はぁ…
あいかわらず苦しい息の中、さっきの成田さんの話を思い返す私。
予想通り、体の容態は良くなかった。
私…
たぶん死ぬと思う。
肺炎を起こしてる体の方が先にダメになるだろう。
そして私も消えるんだ。
何で?
何で今なの?
目頭が熱くなる。
鼻がツーンとする。
滝山くんと一緒にいて楽しかったのに。
いろんな所に連れて行ってくれる約束してたのに。
滝山くんの将来が見たかったのに。
ずっと…
これからもずっと、
そばにいたいのに。
熱でほてった頬に、スウッと涙が伝う。
やっと気付いた。
滝山くんの事が…
好きだったんだ。



