待ち受けカノジョ。

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高校最後の夏休みも、もうすぐ終わる。

なんだか毎日バタバタしてて、あっという間に時間が経っていた。

でも、ここ何年の間で一番楽しかったような気がしてる。

奈緒がずっとそばにいたからかもしれないな…

首からぶら下げた携帯の中を覗く。

奈緒は目をつぶり、肩で息をしながら、苦しそうに横たわっていた。


奈緒…

話しかけようとして、止めた。

奈緒は無理してまでも、笑顔を作るから。

携帯をそっと首からはずして、ポケットにしまう。


病院に向かういつもの道を歩きながら、桜並木を見上げる。

緑の隙間から降り注ぐ、キラキラした木漏れ日が眩しい。

今は夏だから、葉っぱも元気にワサワサ茂ってる。


だけど、そのうち枯葉になって、

冷たい風が吹く頃には枝だけになって、

また春が来て、桜を咲かせるんだろう。


来年の夏、オレはたぶん、もっと忙しくなってるはず。


奈緒は…

どうなってるんだろう?