待ち受けカノジョ。

「ねぇ」

オレは、かがみこんでモゾモゾしている父ちゃんの背中に話しかけた。

「もう、聴けなくなってもいいんじゃないかな」

「あ~ん?」

「また直接弾いてもらえばいいじゃん」


父ちゃんが眉間にシワを寄せながら、ドスドスとこっちに向かって来る。

オレのど真ん前で仁王立ちになると、ギロッとオレを見下げた。

「何が言いたいんだ?オマエ」

オレも物怖じせず立ち上がる。

「いいかげんにお母さんの事あきらめなよ。あっちはもうとっくに人妻だよ?」

「え?な!バッ…バカヤロウ!!」


クスッ

こっちもビンゴ。

目が泳いじゃってるよ、父ちゃん。


「あのさぁ、前から言いたかったんだけど」

容赦なくたたみ込むオレ。

「そろそろ友美さんとの仲、ちゃんとしてくれないかなぁ?」

「バ、バカ!何言い出すんだ!友美とオレは…友達だ!」


父ちゃんの目をチェック。

まだ泳いでる。

よし、オレの予想は正しかった。


ついでに父ちゃんの耳が真っ赤になってるのも発見。