「なに?」

葵が立ち止まって振り向く。


今だ。

チャンスは今しかない。

この前会った時も、結局言えなかったし。


オレは机の引き出しを開けた。

「葵、これ…」

奥から取り出して葵に見せたのは、

初恋の忘れ物。


オレの手のひらの上に置かれた、薄汚れたピンクうさぎのマスコットを、葵はしばらくの間じっと見つめた。


思い出してくれるかな…

ずっと持ってたなんて、きっと驚くだろうな。

これでやっと念願が叶うよ。

オレの心臓の鼓動は激しく高ぶる。


その時、すうっと葵のグロスの唇が開いた。


さぁ…

何を言ってくれる?