リビングのソファーに並んで座る葵と千夏が、さっきのチョコを半分こで食べてる。

気まずさのあまり遅れてきたオレは、テーブルを挟んだ向い側のソファーに、ちょこんと座った。


「ウチさー、あぉタンのファンなんだよね。ブログ見たら、滝山順平に似てる男がのってんじゃん。しかも、名前も『順』だしさー。だから、確認しに直接殴りこみに来たワケ!」

「で、葵がここにいるのバレちゃったんだよ。ねぇ~?千夏ちゃん」

「うん!超ビックリしたよ!まさか、あぉタン本人がいるなんて!!」

「せっかく知り合えたんだし、この際だから、ウチら友達になったんだよね!」

「ウチら2人組んだらマジ最強じゃね?」

「ねぇ~っ!」
「ねぇ~っ!」

声を揃えて嬉しそうに手を取り合う2人。


「そ、そうですか…」

それはそれは、何よりで…

「でもさー、千夏ちゃん、どうして順平だって分かったの?順平の画像、けっこうボカしたのに」

「あれくらいのボカシなら、滝山順平のボケた面だって分かるよ!」

「そっかー!ははは!!」
「そうだよ、ははは!!」

「それよりさー、あぉタン見た?部屋に飾ってあったフィギュア!!」

「見た見た!めくるでしょ!?」

「そうそう!あぉタンも知ってるんだ?」

「だって、けっこうメジャーじゃん。友達と1回見たことあるよ。オタクじゃないのに、ちょっとおもしろいとか思っちゃった!」

「聞いて聞いて!滝山順平さー、自分がめくるオタクだって事、ずっと隠してたんだよ!今まで!超必死で!!」

「マジでー!?」

「バレたし!ははは!」
「超ウケる!ははは!」