「…奈緒?」
おそるおそる、私の様子を伺う滝山くん。
私はサッと両手で耳を塞いだ。
「聞いてません!私、今日一日、何も聞いてませんっ!」
ブンブンと首を振る。
「…そっか。うん、そうか!」
私の嘘には気付いてるはずだけど、滝山くんはそう言って流してくれた。
うん。
桃香のことは、全部知らないフリをしよう。
ひどい裏切りを受けてたのは正直傷ついたけど、許そう。
あの子もきっと変わるはずだ。
「ねぇ、滝山くん」
「ん?」
「私も…こんなダサ子でも、変われるかなぁ?」
えっ!?
思わず口から漏れた言葉に、自分で驚いた。
『かわいくなりたい』
自分がそんな事を思うなんて考えてもみなかった。
今までオシャレには全く興味なかった、この私が…
「うん、変われるよ。変わろうと思えば、ね?」
ニコッと笑う滝山くん。
滝山くんと生活してるうちに、私も影響されたのかもしれない。



