待ち受けカノジョ。

夕日の中を2人で並んで歩く。

オレと桃香ちゃんの間は、一歩分離れていた。


「桃香、過去に捕らわれすぎてたかもしれない。だから同じ所をグルグル回ってたんだ」

「今までの時間がもったいなかったね?」

「ホントだ!そんな時間があったんなら、もっと違うことイッパイできたのに!ああ、青春の無駄使いやー!」

くやしそうな桃香ちゃんを見て、クスッと笑った。


「大丈夫だよ。これから先は長いんだ。出会いはいくらでもある。今度はちゃんとした恋愛もできるよ」

「…こんなデブでブスな桃香でも?」


まったくこの子は!

「あのねぇ!その考え自体が大間違いなの!」

桃香ちゃんの足がピタッと止まる。

「ブスでデブだから世界中の誰一人からも愛されないって言うの?そのコンプレックスが心も顔つきも余計悪くしてるんだよ!

だいたい、見かけで判断して寄り付かない男なんて、たいした人間じゃない。そんなヤツはこっちから断ってやんなよ!」


ポカーンと口を開けてオレを見る桃香ちゃん。

「あっ、ゴメン。言い過ぎた…」

オレなんでこんな熱く語ってんだろ。


「とにかくさ、桃香ちゃんはブスじゃないし、ちょっとポチャッとしてるのも魅力なんだよ。

だから、自信持って。どうしても自信が持てないなら、むしろ開き直って!」

桃香ちゃんが、ブッと吹く。

「『デブでブスですけど、なにか?』みたいな?」

「そうそう。そっちの方がおもしろいよ!」

「なぁに?桃香のビジュアル、ネタなの!?」

2人の笑い声が住宅街にこだまする。