待ち受けカノジョ。

「さっきは…ごめんなさい」

ボタンもちゃんと留めてソファーにおとなしく座った桃香ちゃんが、うつむきながら言った。

「いいよ、もう」

オレは反対側のソファーに斜めに座り、足を組む。


重い空気の中、桃香ちゃんはゆっくりと話し始めた。

「桃香ね、中2の時、好きな人がいたんだ。イケメンでオシャレで人気者の先輩だったの。

ずっと遠くから見てただけだったんだけど、中3になって、ゲーセンでその先輩に偶然会ったんだ。

それから、付き合うようになったの」

無言のまま耳を傾けるオレ。


「こんなデブでブスな桃香のこと『好きだ』って言ってくれたんだよ。すごく嬉しくて、別れたくなくて、桃香は先輩の言うことなら何でも聞いてた。でも…」

うつむいた桃香ちゃんの頭がさらに低くなる。


「そのうち、先輩の友達とかが来て、桃香を犯すようになった」

「えっ…」

さすがに声が出てしまった。


「でもね、耐えたんだよ。先輩がまだ『好きだ』って言ってくれたから。桃香は何人もの男に廻された。

先輩が友達に桃香を紹介してたのも、知ってた。でも、先輩が桃香を必要としてくれるなら、それでもいいって思ってた」

「おかしいだろ、そんなの!」

怒らずにはいられない。

「うん、今ならわかるよ、おかしいって。でもその時は必死だったの」


なんてひどい話だ!

吐き気がする。