待ち受けカノジョ。

『気をつけてね、小川ってサセ子だから』

このことか!

頭の中でその言葉が渦を巻く。


「やめろってば!」

ドンッ!!

両手で突き放すと、桃香ちゃんはベットにドサッと倒れた。

「キャッ!!なにすんの!?」

「ダメだ、オレ帰る!!」

急いで荷物を持ってドアノブに手をかけた。

「ま、待って!!」

背中に桃香ちゃんがベタッと張り付く。

「行かないで!」

全身にゾワッと寒気が走る。

「離せって!!」

しつこくしがみついてくる体を思いっきり振り払う。

女の子にこんな感情を持つ自分にもビックリだ。


「ごめん!ねぇ!滝山くん、聞いて!」

桃香ちゃんがズルズルとオレの体を伝って、床に崩れ落ちた。

「滝山君のことが好きなの…」

伏せた顔から、ウッウッと泣く声がする。


桃香ちゃんを見下ろすオレは、そこでフウッと一呼吸ついて、荷物を置いた。