2日ぶりにドアを開けて「おええっ!!」とか言ってるのは、誰でもないこの部屋の主。

その声で、分かる。

そうとう臭いんだろうな…


鼻をつまんで私に報告する滝山くん。

「奈緒、タイヘンだ!部屋が腐ってる!」


あ~、やっぱり。

真夏に閉め切ったまま、2日間熟成された汚部屋の凄まじさは、そりゃ地獄だろうね。

臭いが分からなくて本当に良かった!!


滝山くんが私を机の上に置いた瞬間、電話が来た。


「あ、滝山くん!電話!」

「誰だぁ?こんな時間に。今、夜中の1時だよ?」

床のゴミを蹴っ飛ばしながら、うっとおしそうに言う滝山くん。

「平石くんからだよ」

「おっ!めく友ぉ~!」

態度をコロッと変えた滝山くんが私を持ち上げた。


ピッ


「もしもし、平石?」

「あっ、滝山君。夜分にすみません、まだ旅行中ですよね?」

「今帰ってきたよ」

「えっ、今ですか!」

「うん、最終でね。ホントはもう1泊の予定だったんだけど、勝手に帰って来ちゃった。で、どしたの?。」

「先日、例のイベントに行ってきたんです。内藤さんのコスプレ写真を撮ったので、見て欲しいんですよ」

「おお!めくるコスプレ!そーだ、すっかり忘れてた。オレとしたことがっ!!」

「それは内藤さんに怒られますよ!?」


確かに。


「あと、別件なんですが、滝山君にちょっと相談があるんです」

「えっ、相談?わかった、とりあえず午後イチで平石ん家行くわ」

「良かった!助かります!じゃ、よろしくお願いします。おやすみなさい」

「おやすみぃ~」


ピッ