「…おじさん」

手紙を読み終わった後、長い沈黙をやぶってオレはおじさんに声をかけた。


体も声も震える。


「オレ…生まれてきてよかったんでしょうか?」


おじさんはオレの様子を伺うかのように、無言でオレの顔をじっと見る。


「オレが生まれてきたせいで、4人の人生が狂ってしまったんですよね…」


無言でソファーからすくっと立ち上がったおじさんが、クローゼットから何かを取り出してきて、オレの前に置いた。


アルバム?


「見てごらんなさい」

手を伸ばし、アルバムの表紙をめくった。


「これ…!?」

1枚目には、生まれたばかりの赤ちゃんの写真があった。

見たことある。

この子は…オレだ。


次のページには、お母さんと友美さんに抱っこされているオレ。

まだ若い父ちゃんの隣で眠るオレ。

たくさんの写真はまだ続く。

ハイハイしてるオレ。

立ち上がってバンザイしてるオレ。

公園で砂遊びしてるオレ。

幼稚園の帽子をかぶって緊張顔のオレ。

小学校の入学式に、お母さんと父ちゃんの間でランドセルを背負って笑ってるオレ。


離婚したのは、

確か…この後すぐだ。


この後の写真はないだろうと思いながら次のページをめくったオレは、予想外のことに驚かされた。