待ち受けカノジョ。

「ひさしぶり!奈緒」

充電器をさして携帯を開くと、奈緒はオレに向かってブンブンと手を振った。


「ほんと!こうやって2人で話すの、今日の朝ぶりだね!」

「ごめんな。せっかく海に来てるのに、ずっとオレのポケットの中で」

「ううん!スキをみてチラチラ外を見せてくれたじゃん。すごく楽しかったよ。ありがとう!」


なんの不満も言わない奈緒。


こんな状態じゃなかったら、今頃海で泳いだりカキ氷食べたりできたのに…


「体に戻ったら、また来ような」

「うん!滝山くんと2人で行く所、いっぱい増えたね!」

奈緒の満面の笑顔。



オレは奈緒に今日一日の事を、一部始終話した。

奈緒は本当に楽しそうに聞いてくれて、その笑顔を見たオレも、なんだか嬉しくなる。


「盛り上がってんじゃん。電話?」

どんぶりを2つお盆の上にのせた悠人が戻ってきた。

「ああ、うん」

携帯をサッとテーブルの下に置く。


「なんだよ、もしかして…彼女?」

「バカ、違うよ!友達」

「ふ~ん?」

完全に疑ってる表情の悠人。


テーブルに置かれたのは、料理長が直々に作ってくれたというかきあげ丼。

ふわんといいにおいが立ち上ってくる。


「すげ!ヤバい!」

「超うまそう!!」


ぐるるるぎゅううぅ~~~

2人の腹が、同時に鳴った。