待ち受けカノジョ。

太陽が傾き、空と海がオレンジ色に染まる。

海水浴を楽しんでいた人達も続々と帰って行き、人影はまばらになった。


“うえはま”も閉店時間。

オレ達はテキパキと後片付けをする。


「いや~、ペイ太郎のおかげで、今日はずいぶん繁盛したよ!」

じーちゃんが「よっこいしょ!」とイスに座り、タバコに火をつける。

「来年も来てくれよ、な?」

「じーちゃん、それはムリだよ。来年は順平だって就職してるかもしれないだろ?」

「え?そうなのか?ペイ太郎」

悠人とじーちゃんが揃ってオレの方を見る。


「まだ…決めてないよ」

なんか、すごく言いづらい。


「そうか!じゃ、この店継いでくれよ!俺はいつポクッと逝っちまうかわかんねーしな!」

「何言ってんだよ!そんな簡単に死なねーよ、じーちゃんは!」

呆れたように言う悠人を、じーちゃんは「ガハハハ!」と笑い飛ばし、厨房に入っていった。


「悠人は進路決まってんの?」

お決まりの質問。

「うん、俺はオヤジの旅館継ぐよ」

「そっか、そうだよな…」


みんな決まってるんだ、自分の将来。

オレもいい加減、本気で考えなくちゃいけないのかな。



夕日は海に沈み、紫色の空に一番星がキラッと光っている。


いつまでも…

遊んではいられないんだ。