ここは、下北沢。
今日の女の子は古着が好きらしく、滝山くんが即決でこの場所を選んだ。
道を歩いていると、あっちこっちに古着屋さんがある。
さすが滝山くん。
次々とお店に入り、女の子と仲良さそうに服を選んでる様子は、まるで恋人同士みたい。
恋人…
ギュッと胸がしめつけられるような感覚。
私は…
森田さんと、こんなデートしたことない。
森田さんはいつも忙しいから、『どっか行きたい』なんてワガママ言えなかった。
いいなぁ。
私もちゃんと、デートらしいデートしてみたい。
正直、この子がうらやましいな…
昨日と同じように、最後に髪を切って服を買った女の子を送っていく滝山くん。
「滝山クンさぁ、今度アタシの順番の時ウチに来てくれない?何に何を合わせていいのか、全然分かんないから」
「うん、いいよ。今日買ったチュニックにはデニムがいいんだけど、持ってる?」
「あー、デニムのショーパンはあるけど、足太いからイヤだなぁ~」
「太くないよ。大丈夫だって!」
歩きながら楽しそうにオシャレの話をしてる。
私は、ついていけない。
今日は何だかずっと
心臓がギューギューしぼられてるみたいに、胸が…苦しい。



