待ち受けカノジョ。

オレはジェスチャーで伝えて、何とか成田さんから紙とボールペンを貸してもらった。

奈緒に聞かれないように。


『さっきここに、背の高い男の人とちょっとポチャっとした女の子、いませんでした?』

成田さんは不思議そうにしながら返事を書いてくれた。

『いたよ。奈緒ちゃんの友達だって言ってた』


やっぱり…


だまったままおじぎすると、成田さんは頭にハテナマークを浮かべながら廊下に出て行った。


やっぱりあれは、桃香ちゃんと森田サンだ。

2人とも偶然ここで会って、ゴハンでも食べに行くところだったのかな。


それにしても…

なんだろう、タクシーに乗る瞬間の、やたら嬉しそうな桃香ちゃんの顔。

まるで、デート中みたいな。


ハッ!!

頭の中に、あの日の言葉がよみがえった。


『気をつけてね、小川ってサセ子だから』


えっ!?

うそ!もしかして?


…イヤイヤ。

そんなバカなことはないだろう。