待ち受けカノジョ。

病室に入ると、奈緒の様子を書類に書き込んでいる成田さんがいた。


「あっ!滝山君。この間はゴメンね!」

成田さんが照れ笑いする。

「いいんです。成田さんって、小さい子供がいたんですね」

「そうなの!カワイイでしょ?」

ニコッと、満面の笑顔の成田さん。

「私、実はシングルマザーでね」

「えっ!そうなんですか?」

「ダンナがバカで働かないから、サッサと別れてやったわ!」

「それはヒドイ!」


へぇ、そんな親いるんだ。

自分から子供作っといて育児放棄する親とか、信じらんない。


「仕事してる時は親に見てもらってるんだけど、休みの日はああやって一日中一緒にいるの」

「そうなんですか、大変ですね」

「楽じゃないけど子供はカワイイんだ。あの子がいなきゃ生きていけないから、私!」


幸せそうな成田さんの顔を見ると、どんだけ子供を大切にしてるか、よく分かる。


「あっ、イヤだ!私またオシャベリしちゃった。ゴメンね!」

パタパタと部屋を出て行こうとする成田さん。

「あ!あのっ!」

「ん?」

成田さんが振り返る。