誠の桜に止まる蝶

「蝶ちゃん?」

呼びかけても何の反応も示さない。

「土方さんが怖くて泣いてるの?」

首を横にふる。

「じゃあ、どうしたの?」

勢いよく蝶が顔を上げる。

「沖田さん、私泣いてませんよ?」

「え?」

「ごめんなさい、土方さんが本当にいなくなるまで待ってただけですから。」

そういって少し無理に笑顔を作る。

「そっか・・・でも、随分無理に笑うんだね。」

「え?」

「蝶ちゃん今迷子みたいな顔してるよ?」

「迷子・・・?」

「うん、昨日の夜と同じ顔してる」

「そんなこと・・・」

蝶は下を向いたまま黙る。