誠の桜に止まる蝶

「ではこれより剣道の腕比べを始める。主審は俺が務める。」

土方さんの声で一斉に場がもりあがる。

「先方、一番隊隊士、前へ。」

「うわあ・・・いきなり一番隊かよ。」

「そうとう気合い張ってるな土方さん。」

周りがざわざわと騒がしい。

「ひ、土方さん。女の子相手に本気だしていいんですか?」

びくびくとしている隊士。

「あら。私あなたに負ける気なんてしませんよ?」

私はけろりと言ってのける。

「なっ・・・」

相手は怒ってこちらをにらむ。

「試合はじめっ!」

土方さんの声を合図に相手がすごい声をかけながら間合いを詰めてくる。

スパンッ。

乾いた音があたりを静寂へと導く。

「い、一本。勝者蝶。」

土方さんは唖然としながらも審判を続ける。

私は隊士のもとへと寄る。

「な、なんだよ。お前、あんな大口叩いて負けた俺を笑いにきたのか?」

「あなた剣を構えて振り下ろすまでに時間がありすぎる。そこを直す練習をしたら強くなれるよ。」

「え・・・」

「しっかりと練習してね?」

「あ、ありがとう・・・」

その言葉を聞くと蝶はにっこり笑って戻っていった。