「きれいな桜ですねえ・・・」

僕はおもわず言葉をつぶやく。

「ああ。そうだな。」

目を細めながら土方さんも桜を見つめる。

「え。土方さんにも風流がわかるんですか?」

「当り前だろうが!」

二人で騒いでいると桜の木の枝に人影が月明りで見えた。

「土方さん、桜の木の向こう側見てきてもらえますか?」

「ん?なんでだ?」

「人影が・・・」

事態を把握したのがすぐに頷く。

「よし。お前はこっちを頼む。」

「了解。」

二手に分かれて状況を判断する。

一度雲に隠れた月がすべて姿をあらわす。

「んっ・・・月?」

声をするほうに目を向けると綺麗な少女が桜の木の枝に座っていた。

「きれい・・・つまり、夜?」

すこし寝ぼけているのかきょとんとした表情をしている。

「ねえ?君、そこでなにしてるの?」

「えっ?っきゃあっ!」

不意に声をかけると少女は驚いてバランスを崩す。

それをとっさに受け止める。