なにかしら?

ざわざわと声がする・・・・

もう、朝?

私はゆっくりと瞼を上げる。

相変わらず私は桜の木の上にいた。

「んっ・・・月?」

天を見上げると見事な満月が顔をのぞかせていた。

「きれい・・・つまり、夜?」

私は自分の状況がわからずきょとんとしてしまう。

「ねえ?君、そこでなにしてるの?」

「えっ?っきゃあっ!」

不意に声をかけられたせいでバランスを崩した。

落ちるっ!!

ぎゅっと瞼を閉じたが、いつまでたっても痛みは来なかった。

そっと目を開けるときれいな顔の人に抱きとめられていた。

瞳に強い何かを秘めた、ふしぎな男の人。

「桜の精霊かと思った。」

「え?あなた誰?」

「俺は新撰組一番隊隊長沖田総司。」

彼は、いいえ、沖田総司と名乗る人はゆっくりと微笑む。

「沖田、総司・・・・?」

「うん。そうだよ?」

おかしそうに私の顔を見つめる。

「あの、今は何年?」

「ん?文久4年だよ?」

「文久4年・・・・」

つまり1864年ってことよね・・・・

恰好も洋服ではなく着物・・・・

そして浅黄色の羽織を着て、沖田総司と名乗る人物。

私、もしかしてタイムスリップしちゃったの?