「安芸と城戸が何でこんな所にっ…」



アキ…?
キド……?



背後から聞こえる声は、焦りに満ちている様に感じる。



気付けばオレンジの後ろに、もう一人。
黒髪に金メッシュ。



…仲間じゃ、ないの?



どっちでもいいけど、私は早く逃げないと…



だけどぐらぐらする頭と今にも座り込みそうな身体は、もう走る事ができないと理解する。



私はただ目の前のオレンジを見ていて、後ろからは赤髪が何かを言っていたけど聞こえてなかった。



私の肩に手を置く目の前のオレンジは何故か口元に緩やかなカーブを浮かべている。



「…お前らこそなんでこんな所にいるんだよ?」


「……」


2人のやり取りの意味はわからない。
だけど、雰囲気は重い。
ビシビシとヤバい空気を感じる。



「…ここはウチの縄張りだろ」



その言葉を発した瞬間。
私の肩を黒髪の方に引っ張ったオレンジは、真横を通り過ぎて、赤髪に殴りかかっていた。



その速さは尋常じゃない。



鈍い音と、男の呻き声が聞こえる。
一気に殴られた赤髪は瞬殺されたのか、地面に突っ伏していた。