ジリリリリという不快な機会音で目覚めた私は、ぼーっとしたままその音の発信物、時計を見ていた。



「…8時前か…」



温かいベッドの中からのそのそと起き上がれば、ひんやりとした空気。



必要以上に物がないここは、まぁ一言で言えば殺風景。



顔を洗って身支度を整えて、コーヒーを淹れれば、鳴りだす携帯電話。



「さっさと降りて来い」



その一言で電話はすぐに切られた。



なんで携帯の番号知ってんの?とかなんで迎えに来てんの?とかまぁ疑問はあったんだけど、とりあえずは、素直に従う事にしようと思う。



無駄に広い玄関で、まだ履き慣れないローファーを履く。



いってきますを言った所で返事が返ってくることはないから、無言で玄関を後にした。