「股関蹴って逃げた」 「…」 「…」 「…」 「…」 「…」 何故沈黙になる。 正宗は正に鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をしていて、隣の司は顔を逸らし肩を震わせていた。 右隣タクはぽかーんとした表情を浮かべていて、左隣修はニヤニヤとしながら私の髪を弄っている。 颯人は口元を緩やかに上げていた。 「…でもさ、あの赤髪バカだよ。見張りなのに携帯してたし…」 そう。 確かにあの赤髪は誰かと話をしていた。 誰かまでは知らないけれど。