目の前には私を覗き込む様に見る、赤毛の男と坊主頭の男。



まぁ一言で言えばガラが悪い。


その上タイプじゃない。
細い目に人相の悪い赤髪と、ゴツめの体格に幸薄そうな坊主頭。



「…何?」



口をついて出た一言が低くかったのは“お前らなんて相手にしない”という意味を込めたから。



けれど、この2人にそれは通じないらしい。



「ねー暇でしょ?つか暇だよね?俺らと遊ぼーぜ」



にやにやと気味の悪い笑みを浮かべる2人組は、私の肩をグッと掴む。
その力は、かなり強い。



「ちょっ…痛いっ!離せよ!」


「ん〜?無理無理〜」



手首を捻り上げようとすれば、軽やかに避けられた。
へらへらと嘲笑う様な顔で私を見て、楽しんでるかのよう。



イライラする。
さっきまでのいい気分を返せっつの不細工が!



心の中で悪態を吐いて睨むけれど、そんな私にはお構いなしに、両サイドをガッチリと固めてスタスタと歩き出す2人組。



「私に触んな!」

「強気だねぇでも足元ふらついてるよ?お酒飲んでるんでしょ〜?」

「アンタらに関係ねーだろ」


つか何で誰も助けないのっ!?



さっきまで私を見ていた人達も我関せずと言った具合で、今では背を向けている。



嫌がる私を強引に引っ張る2人組は、明らかに人通りの少ない路地裏へと行っている。



こんな奴らとかとマジ無理ッ!!