乱華Ⅰ【完】





廊下から聞こえるのはどれもドスの効いた声で。時折何かが割れる様な音も聞こえていた。



タクは速攻で私の元まできてその広い背中に私を隠す。



颯人はチッと舌打ちをして入口のドアを睨みつけていて



修は「あ〜あ」とやけにこの場にそぐわない声を出した。
だけどその目は鋭く獲物を狩るライオンのようで




正宗は携帯を耳に当て誰かに連絡をしているようで、司は窓の外を見て何かを確認しているようだった。




私には一体何が起きたのか理解できず、ただタクのシャツの裾を掴んでいた。



「心、オマエ絶対声出すなよ?」


チラリ振り返ったタクはまたすぐに前を向く。



「…え、」


ーどういう意味?



私が言葉を発する間も無く、ドアが物凄い音を立てて開いた。