そして今日も幹部部屋でする事もなくゴロゴロと過ごしていたが、勢いよく開いたドアによってそれは幕を閉じた。




ソファーに座っていた私とどうせ無駄だろう勉強をしていた司は、大袈裟なまでに肩を震わせてその音の方へと振り返る。




「見つかったぞ」


幹部部屋に現れたのはここにいない奴ら…ではなく何故か梶さん。
肩で息をしながら司を見て言葉を吐いた。




その言葉に司は開いていた教科書を放り投げ、テーブルに置いてあったバイクのキーを掴んだ。



慌ただしく上着を羽織り「あー、オマエここにいろよ!」至極面倒くさそうに私に言い残して、バタバタと幹部部屋を出て行った。



梶さんも「じゃぁ待っててね」と少し困った様な表情で言いドアを閉めようとしたけど、私はそれを阻止した。



「…心ちゃん?」


「私も、行く」


「えっ!?ちょっ…それは無理…かな」


明らかに動揺する梶さんに「見つかったってタクの事でしょ?」問えば言葉に詰まっていた。



…やっぱり。

絶対そうだと思った。
タクがこんなにもここにいないなんておかしいし、あのはぐらかされた感じとピリピリとした空気。


タクに何かあったのなんで一目瞭然で、そして“見つかった”ってのはもちろんタクの事。



だったら私は迷いなく行く。



「大丈夫。責任は私がとるから」



―だから、なにかあったんなら私も力になりたい―