その1時間後
「和真さん、奥借りますね」
「…おいこら正宗。まだ開店前だ」
いきなり現れた現乱華の幹部。
タクといいコイツらといい、いい加減営業時間守れよな…
正宗は眼鏡の奥で緩和な笑みを見せただけで、そのまま奥へと足を進める。
…あのエセスマイルいい加減直せよ。
「いいじゃないっすか〜営業時間なんてあってないもんでしょ〜?っと電話だ」
「んなわけねぇだろ。…ってまた女かよ」
修はいつもの如く煙草を吸いながら軽口を叩く。
携帯に出た修はどこぞの女の名前を呼んで楽しそうにお喋りしだした。
…いつか女に刺されろ。
「っておい、司お前どうした!顔死んでんぞ!大丈夫か!?」
修の真横を通り過ぎて、奥にトボトボと歩いて行こうとする明らかに様子のおかしい司の腕をつかんで呼び止める。
どこが魂の抜けた様な表情でブツブツとアイマイミー…何言ってんだコイツ。
「和真さーん、司は勉強疲れってやつっすよ〜普段やらねぇくせにテスト前だからって勉強するもんだからキャパオーバー…あ、こっちの話〜で、どうしたの〜?ちかちゃん」
修が携帯を肩に挟んでヤレヤレと言った感じで説明してきた。
勉強、ねぇで…それに関しちゃ俺も苦い経験があるからな。
勉強してるだけでも褒めてやらねぇとな。
労いの意味を込めて司の頭をポンポン叩いたけど司はそのまま奥に歩いて行っちまった。
普段なら「子供扱いしてんじゃねーよ!」くらい言うだろうが、今はそんな気力もないらしい。


