「だからってお前は逃げんのか?」
「…」
「颯人から与えられた任務だろうが」
タクには少しキツいかもしんねぇが、ここで甘やかしたら何も変わらねぇ。
過去は過去であって今じゃねぇんだ。
もう堂々巡りは終わりにするんだろ?
「お前それでも乱華のNo.2か?そんなんだから颯人に…」
「…だよ」
「あ?」
聞こえねぇ…
食器を拭きながら話す俺にタクがボソッと何かを言った。
タクは伏せていた目を俺に向けて、その瞳に哀の色を濃く滲ませた。
「颯人、颯人、うっせぇんだよ!俺がアイツに敵わない事くらいわかってんだよ」
「タク…」
「これ以上惨めにさせないでくれよ…」
「おい!タク!!ちょっと待て…!!」
タクはカウンターをドンッ拳で叩き、俺の静止も聞くことなくそのままゲンを後にした。
「はぁ…やっちまった…」
タクの去った扉に視線を這わせたまま額に手を当て、この先やっかいになりそうなのを感じていた。


