「よぉ」
寒いのに車に凭れてタバコを吸っているのは修。
真っ黒のダウンジャケットを羽織っていて、口から出てるのが息なのか、紫煙なのか区別がつかないくらい寒い。
私に気付くと片手を上げて、紳士さながらドアを開けてきた。
「……タクは?」
そう。違和感の正体。
タクがいない。
いつも朝の電話はタクだし、迎えに来るのもタク。だってあいつは私の護衛だって言ってたし…
とにかくあのオレンジがいない。
っていうか昨日の朝から見てないって今気付いた。
「ん〜アイツが気になる〜?」
「…別に」
修がニヤニヤと笑って挑発的な聞き方をするから、咄嗟にそう言ってしまう。
バカ!!
何言ってんの!?私!!
素直にうんって言えよ!!
ドアの前で一人で悶えてれば、タバコを吸い終わった修からさっさと乗れよ的な視線を感じたから、そこはさっさと車に乗ることにした。


