まず目に飛び込んだのは意識がないのかぐったりした心ちゃんと、心ちゃんを抱き寄せている颯人。





心ちゃんは頬が真っ赤に腫れていて、颯人のブレザーを前からかけられていた。
その裾からは微かに素肌が見えて、思わず眉間にシワがよったのが自分でもわかった。




女の子相手に何をしようとしたかなんて一目瞭然。




周りに視線を動かせば、伸びているのか意識のない男が三人。
奴らの仕業なんだろう…




その男にフラリ近寄ったのは…



「…おい、タク」


もう意識のない男の顔面を躊躇いもなく蹴り飛ばして、靴底で踏みつける。
冷たい視線で男を見下ろしたタクの肩に手をかけた。



「…離せよ正宗。お前は何も思わねーのかよ?」



決して大きな声ではなかった。
静かに淡々と話すタクがどれだけ怒りを蓄積しているのか…
俺の静止を無視してなおも男を蹴ろうとする。



何も思わないわけないだろ。
自分のせいでこうなった様なもんだ。
俺が泳がせたりさせなかったらこんな事にもならなかったワケだし。




自分に怒りがこみ上げる。


それ以上にこいつらを心ちゃん以上に苦しませてやりたい。



でも



「やめとけ」


「…」


「心ちゃんが望まないだろ」



こいつらが再起不能にでもなったら、自分のせいだと思ってしまうんじゃないか。