乱華Ⅰ【完】




校舎を抜けて人気のない体育館付近。


授業中なのもあってか周辺はシーンと静まり返る中、体育館倉庫の方から微かに物音が聞こえた。




それに一足先に気付いたタクがその場から駆け出す。それと同時に鳴り出す携帯。



携帯を取り出しながら体育館倉庫に向かい、相手を確認する暇もなく耳に当てた。




「なんだ」


「なんだ、じゃねぇのよ。大丈夫か〜?」


それは乱華の倉庫で陽炎の後処理に追われて疲れたから今日はサボると言った修からだった。
梶から連絡がいったんだろう。




修の言う意味合いは“俺達も加勢しなくて大丈夫か”なんだろうけど俺はそれに何も返さなかった。




体育館倉庫ってだけで、不安要素満載だ。




携帯を耳に当てたまま走ればすぐに体育館倉庫のドアが見えた。
入り口にはタクが突っ立っていて、その後ろから中を伺った俺は携帯を地面に落とした。