暫くしてタクが帰って来た時には時刻は夜の11時。
もう夜も深々と言った所か。




修も司もまだ帰って来ていない。


タクはそのままソファーに腰掛けて、ジッポをカチンカチンと開けたり閉めたりして手持ち無沙汰の様子。





「タク」


「あ?」


タクはそのまま目線だけを上にあげて向かいに座る俺を睨むような目で見据えてきた。
こりゃ心ちゃんとまたなんかあったな。
素直じゃないタクには最早哀れみの目を向けるしかない。




「昼間の奴どんなやつだったか覚えてる?」


「あぁ。身長は…そうだな司くらいで痩せ型。ジーパンに黒のパーカーそれに、黒のニット帽を目深に被ってたな」


「よくそこまで覚えてたね」


「当たり前だろ、あんなんどう見ても怪しいっつーの」


だけど逃がしたわけか。
それは何故かな?
言葉に出さずにただタクを見据えれば、不快そうにしながらも



「…あれどう見ても女だったぞ」


告げた。