タクは私の横を通り過ぎてドアを開けて中を確認している模様。
てかさ、
「タク何しにきたの」
「あ?きゅーけーに決まってんだろ」
タクはさっみーなんて言いながら、一足先に幹部部屋に入って行く。
今正にカラフルヤンキーに働けって言ってた癖にこれだ。
あの日タクにそのまま家に送ってもらって、その後タクがみんなに私の“今まで”を話したのかはわからない。
だけど、あの一騒動に関して颯人からも正宗からも修からも司からも問い質されない所を見ると言ったのかもしれない。
彼らがなんて思ったのかは気になるところではあるけど、考えないようにしよう。
自ら傷つく事なんてしたくない。
癪だけど彼らには嫌われたくないのは事実だから。
2階から忙しなく動く1階を眺めれば、颯人が倉庫の端に1人佇んでいた。
それはまるで颯人の周りだけが時を忘れたかのような光景。
…なにしてんだろ?
どこか剣呑な雰囲気を纏っている颯人に話しかけようか迷っていると、颯人は電話が掛かってきたのか、耳に携帯を当ててその場を立ち去った。
「お前も早く入れよ寒いだろーが」
颯人の姿を目で追っていたら後ろからタクが声をかけてきて、言われるがままに幹部部屋へと入った。


