乱華Ⅰ【完】



やっぱり俺の考えは正解か。



まぁこれで心ちゃんが拉致なんてされずに済んだんだからいいだろう。



それから颯人にもコイツらの目的と計画を話した。



「で?お前らなんで心を狙う?」


「え…いや、」



颯人の射る様な漆黒に見据えられた男は、冷や汗をかきながら目をキョロキョロと泳がす。



「利用価値って一体何に利用するんだ?」


「…利用、価値?」



俺の質問にぽかんとしたアホ面をした男に、思わず眉間に皺が寄る。



こいつ、まさか知らないのか?
眼鏡をクイッと持ち上げ、口を開く。



「香月忠士が言ってたんだよ」


「……香月さんが?」


「お前ら何で心狙ったんだよ?」



タクがはぁっとため息のを吐きながら、詰め寄る。
その姿は若干呆れを含んでいる。



「本間さんが執着してるから…」


「執着する理由、知らないのか?」


「…可愛いからじゃないんすか?」



バキッ!



言った瞬間、タクの拳が男の顔面に炸裂した。



「使えねぇんだよ!コイツただの下っ端じゃねぇか!」



鼻血を出し気絶した男を見下ろし、イライラした様子のタクはそのまま繁華街から歩き出した。