乱華Ⅰ【完】



颯人は比較的人通りの少ない裏通りにいた。



辺りには本当に1人でやったのかと疑いたくなる程の人数が、転がっている。



その殆どが意識がなく、見た目では外傷は見当たらない。



それを見たタクに引きずられていた男が「ヒッ」小さく悲鳴をあげた。



「派手にやったなぁ?」


「こいつらがつっかかって来るからだろ」


「で、拉致組はどいつらだよ?」



男の肩に手を回したタクは、転がる奴らを指差し問う。



ガタガタと震え出す気持ちもわからなくもねぇが、さっさと言えよ。



小さく舌打ちが漏れる。



もう戦意喪失なのか、その舌打ちにでさえ、肩をビクリと跳ねさせた。



こいつはもう、族抜けするだろう。
まぁ陽炎もこんな腰抜けいらねぇだろうがな。



どうでもいい事を考えていたら、漸く颯人を挟んで右にいた奴らを指差した。



「コイツら援軍呼びやがって、それでそいつら来たんだよ」



それに視線を向けた颯人はつまらなさそうに呟く。