颯人は比較的人通りの少ない裏通りにいた。
辺りには本当に1人でやったのかと疑いたくなる程の人数が、転がっている。
その殆どが意識がなく、見た目では外傷は見当たらない。
それを見たタクに引きずられていた男が「ヒッ」小さく悲鳴をあげた。
「派手にやったなぁ?」
「こいつらがつっかかって来るからだろ」
「で、拉致組はどいつらだよ?」
男の肩に手を回したタクは、転がる奴らを指差し問う。
ガタガタと震え出す気持ちもわからなくもねぇが、さっさと言えよ。
小さく舌打ちが漏れる。
もう戦意喪失なのか、その舌打ちにでさえ、肩をビクリと跳ねさせた。
こいつはもう、族抜けするだろう。
まぁ陽炎もこんな腰抜けいらねぇだろうがな。
どうでもいい事を考えていたら、漸く颯人を挟んで右にいた奴らを指差した。
「コイツら援軍呼びやがって、それでそいつら来たんだよ」
それに視線を向けた颯人はつまらなさそうに呟く。


