乱華Ⅰ【完】



携帯の時刻は午後3時
今日の授業はもう終わっている。



携帯から心ちゃんの番号を引き出し、再び携帯を耳に当てる。



「正宗?」



数コールで電話に出た心ちゃんはいつも通り。
とりあえずさっきの男が言ったみたいに、陽炎に拉致されてはいないらしい。



ほっと小さく息を吐き出す。



「うん。心ちゃん大丈夫?何か変わった事ない?」


「ないよ。それより…陽炎、大丈夫なの?タクも修も行っちゃったけど…」


「大丈夫だよ。もう終わったからね。ただ、まだ後処理があるから迎えは梶が行くから。ちゃんと待っててね?」


「うん。わかった」


「じゃぁまた後でね」


「うん」



わざわざ心ちゃんに陽炎が拉致しようとしていた、なんて不安にさせる様な事は言わなくていいだろう。
そのまま携帯を閉じて、ポケットに仕舞った。